大和がゆく

合格発表に潜入

別れ、そして出会いの季節、春。ボーっと話していた。「なあ、Kは慶應って第一志望だったの?」 「ん〜。俺は一橋に行きたかったんだよね」。懐かしい。受験を経験した塾生なら誰もがする受験の話。そんな日常の会話から、 今回は東京大学の合格発表に潜入することが決まった。

東大前駅に到着。受験生たちが緊張の面持ちで同じ方向に歩いていく。「やばい。俺たち、場違いだ」。 取材陣には早くもため息がこぼれる。

正門を抜け、見えてきたのは安田講堂だ。日本の最高学府、東京大学。極度の緊張。「ダメだ。逃げるな、お前らっ」。 一蹴する私。何とか合格発表の掲示板にたどり着く。

多くの人でごった返している。サークルの勧誘や合格者を胴上げする、おなじみの光景。「すごい」。 言葉を失い、雰囲気に飲まれる取材陣。と、その時、声をかけられる。「受かった?」どうやら受験生に間違われたようだ。 「えっ。あっ、はい」。とっさにウソをついてしまった。「名前は?」「大和です」。私の周りに人がいっぱい寄ってくる。 「大和君、合格おめでとう!バンザーイ。バンザーイ。バンザーイ。」万歳三唱、そして持ち上げられる…。 三度、私は宙を舞った。そう、胴上げされたのだ。気分はもう東大生。「これで俺はエリートだ。将来は官僚だ」。…はっ! 我に返る私。とてつもない罪悪感、虚無感がわき上がってくる。

帰り道、東大のテニスサークルはかわいい子が多かったとKに話す。「バカ、インカレだよ。どこかの女子大の子だろ」。 「なるほど」。すんなり納得する自分がいた。明日も大和がゆく…。

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